科学リテラシーと道徳観を育成する教育課程の全校実施

研究開発単位の目的、期待される成果

科学リテラシーの向上を図ることで,生徒の身に付ける道徳観をより公共性の高いものにすることを目的とする。また,理系選択の生徒にも,将来の社会に対する科学者の責任感の醸成にも役立つはずである。科学探究等のSSHプログラムで培った能力を,さらに深化させるために,理系科目に留まらず,文系科目も融合して,探究的学びを体験することで,学園に集う生徒全員が,自然科学の考え方を備えた社会の発展に寄与できる人材として育成される。

仮説Ⅱに示した全校生徒を対象とした探究型授業や課題研究を実施し,課題研究テーマと社会とのかかわりを意識させることで自己肯定感の向上につなげる。

期待される成果は,先に記述した通り生徒の身に付ける道徳観がより公共性の高いものになることである。このSSH事業の主目的でもある「科学的人材育成」の基盤を醸成することで社会にも貢献できる。

内容

本校の中高一貫・特別進学コースの文系生徒やキャリアデザインコースの生徒も将来,科学系人材になりうる可能性は否定できない。ゆえにこれらの生徒にも科学の社会における重要性や,科学がこれまで人類に対して行ってきた貢献に興味を持ってもらうために,現代科学者として現場で活躍しておられる方や,科学史や科学リテラシーを専門に学ぶ研究者の方などを招聘し,講演していただく。また,実際に科学や技術が貢献している現場に赴き体験学習をする。博物館等で本物に触れることで,自分たちの生活と密接に関わることを理解する一助とする。

中高一貫・特別進学コース文系生徒にも科学分野だけでなく様々な分野の課題を設定して,科学リテラシーを使って高校2年生から高校3年生と課題研究を行い,発表する。キャリアデザインコースの生徒には,理科や数学だけでなく,国語,英語,社会,音楽,家庭,体育の8科目の複数教科が融合した探究型の授業を実施し,科学リテラシーを学んでいく。

実施方法

全学年を対象に,科学者や,科学リテラシーの専門家を招聘しての講演会を実施する。高校2年生の「キャリアデザイン講話」(社会で活躍中のさまざまな職種の方の講演会を週1回実施)に於いて,科学的な立場からお話いただける職業の方をお招きする。高校2年生の春に実施する「関東・関西研修」等を利用して,科学的な施設見学を入れる。中高一貫,特別進学コースの高校2年生文系と高校3年生文系で「課題研究Ⅰ・Ⅱ」を週1時間実施する。高校1年の科学探究で培ったスキルを活かし,社会科学,人文科学,自然科学といった分野を横断的に融合させながら研究する。生徒自身の興味関心に基づいて研究テーマを設定し,近隣の研究機関等と連携して専門的なアドバイスを受けながら授業を展開する。キャリアデザインコース2年生と3年生で「総合探究Ⅰ・Ⅱ」を週2時間実施する。高校1年生で培った「知る」「見つける」「つかむ」「伝える」といった情報活用スキルを活かし,融合型探究授業を行う。